【 赤とんぼ(アキアカネ)が激減したのは新農薬のせい 】
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今日のニュースで赤とんぼ(アキアカネ)が
減った原因は2000年頃から使用が増加した新農薬
であると石川県立大学の上田哲行教授は結論づけています。
その減り具合は1000分の1に激減だ、といっている。
具体的な農薬名はフィプロニルとイミダクロプリド、ジノテフランが
あがっています。
確かに、この頃これら農薬が普及し始めたのも事実だし、
県によって出荷量はわかり、県ごとの赤とんぼ(アキアカネ)のグラフも
出ているので、事実なのでしょう。
小さい田んぼでの実験結果でもフィプロニルではまったく
赤とんぼ(アキアカネ)が羽化せず、
イミダクロプリドとジノテフランでは(たぶん無農薬の)30%の羽化、
従来のカルタップでは無農薬と同じくらいの羽化がみられたとしている。
そして、福井県のA市では、カルタップを使っているため全国でも
希少な生息地となっているが、隣接のフィプロニルを
使っているところでは赤とんぼ(アキアカネ)の数が
激減しているという。
グラフには1989年を1として、激減している赤とんぼ(アキアカネ)の
数を県別に示しており、佐賀、兵庫、愛知、富山、石川、福井のデータが
出ています。
でもちょっと気になるのは上田教授自身が
「アキアカネの過去の個体数のデータがほとんど残ってい」ないなかで
推計しており、その推計はどのように行ったのか知りたいところです。
そして、福井県のA市ではカルタップのためにアキアカネは減っていない
といいながら、隣接地では激減としており、グラフは福井県全体を
示して激減しているので、福井県のなかでもA市のようにカルタップ等
従来農薬を使用している市町村がどの割合なのか、このままでは
わかりません。
他の県についても、県のデータだけなので、県内どこで何か所調べ、
新農薬の割合がどのくらいなのかも知りたいものです。
元のニュースにも書かれているように
「これらの農薬は『浸透性殺虫剤』と呼ばれ、
イネの育苗箱用殺虫剤として広く使われている。
イネが地中から農薬を吸収、イネの葉などを食べた害虫を
殺すというものだ。
田植え後の農薬散布の手間が省け、
成分が環境中に撒かれないことから“エコ”な農薬
ともいわれている。」
【 新農薬登場でよくなったこと 】
これら新農薬が出る前、私が九州にいたころだから
1993年から1996年の間ですが、そのころは
農薬会社に勤務しており宮崎・鹿児島を担当しておりました。
そこで、8月、9月になるとイネの害虫ウンカが
大量に飛んでくるため粉剤タイプの農薬が
ひとつの農協だけで
1000箱(3kg×8袋入り)以上使われていました。
ところがイミダクロプリドが出てからは粒剤を
苗箱にまけばウンカは飛んできてもイネには
来ないので、1000箱以上の粉剤はパッタリ
売れなくなってしまいました。
農家は暑い夏の盛りにマスクや防除衣を
着て、大量の粉剤を散布しなくてもよくなりました。
ウンカの被害は減るし、真夏の粉剤散布はなくなって
めでたしめでたし、ライバルメーカーである私の
会社はめでたくなくなりましたが、全体としては
めでたしでしょう。
【 昔に戻せ? 戻りたい?】
昔は、赤とんぼ以外にもヒルやタガメなどの
虫もいっぱいいたのに農薬以外の農業技術や
水路のコンクリ化などでいなくなってしまいました。
赤とんぼが懐かしいといって
また、真夏に粉剤を農家が撒いて、煙幕のように
真っ白けになった田んぼを期待するのでしょうか。
このニュースにはそこまでは書かれていませんが
言外に言っているように思えます。
どこまで昔にもどればいいのか、
みんなで考えたいものです。
【 現在、栃木県小山市のアキアカネ 】
写真は今年、6月毎朝の散歩中に撮影したアキアカネです。
アキアカネが発生している田んぼは
数枚に限られており、1枚の田んぼでは
捕虫網をひとふりすると5-6匹入ってくるほど
大量のアキアカネが発生しておりました。
ほかの田んぼはほとんどおらず、上記の新農薬が
使われているのかもしれません。
また、去年はほとんど見られなかったアジアイトトンボが
今年は数枚の田んぼで見ることができました。
なので、ニュースのデータのように県別なんて
大きな話でなく、それこそ田んぼ別に調べてみないと
栃木県で激減なんてことはいえません。
こういうニュースを見て、
農薬が悪い、その農薬を使うな、使用禁止だ、
という団体にも会ったことがありますが、
それだけでは解決しそうにありません。
われわれはどうしたら、いいのか、
みんなで考えていきたいところです。
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